2022.03.08

HDLコレステロールが低い原因とその影響|HDLコレステロールを増やす方法について

「コレステロール値が高いと健康に悪い」というイメージはありませんか?コレステロールにはHDLとLDLの2種類があります。高いと良くないとされているのは、LDLコレステロールのほうで、HDLコレステロールは低いほうが体へのダメージとなるのです。

この記事では、HDLコレステロールが低くなる原因と、体への影響について詳しく解説します。さらに、自分でできるHDLコレステロールを増やす方法についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
HDLコレステロールが低くなる原因とは
コレステロールは、生命を維持するために欠かせない脂質の一つです。私たちの体を構成している細胞を保護する細胞膜の材料となるほか、脂肪の吸収・消化に必要な胆汁酸や、各種ホルモンの材料となります。

◇HDLコレステロールとは?
コレステロールは血液によって全身に運ばれますが、脂質であるコレステロールは血液に溶け込みにくいため、「リポタンパク質 」という粒子になって血管内を移動しています。

リポタンパク質は、脂質とたんぱく質 の組成によって、比重が異なるのが特徴です。なかでも、たんぱく質の割合が大きい粒子を高比重リポタンパク質といい、「HDL」と呼びます。なお、たんぱく質の割合が小さい粒子は、低比重リポタンパク質の「LDL」です。

「HDLコレステロール」とは、HDLという粒子に含まれているコレステロールを指します。HDLコレステロールの役割は、細胞や血管内に溜まっている余ったコレステロールを取り込み、肝臓に運ぶことです。回収されたコレステロールを分解・排出することで、体内のコレステロール量を一定に保っていることから、善玉コレステロールとも呼ばれています。

一方、LDLという粒子に含まれているコレステロールはLDLコレステロールといい、増えすぎると血管に関連する健康リスクなどを促進することから、悪玉コレステロールとも呼ばれています。

◇HDLコレステロールが低いことによる悪影響
コレステロールは、HDLとLDLがバランス良く、細胞が必要な分だけ存在することが肝心です。

HDLコレステロール値が低くなると、血管内の余分なLDLコレステロールを回収しきれなくなります。回収されなかったLDLコレステロールが、血管の壁に溜まることで、血管の柔軟性が失われるため、心臓や脳などに大きな影響をおよぼす原因になるのです。

◇HDLコレステロールが低いとされる数値とは?
一般的には、LDLコレステロール値が高いことが問題視されやすいですが、HDLコレステロール値が低い状態も無視できません。

具体的な数値としては、空腹時の採血でHDLコレステロール値が「40mg/dL未満」だと、脂質異常を疑います(日本動脈硬化学会基準)

HDLコレステロール値が40mg/dLより高い場合は、余分なコレステロールを回収できる能力が高いと考えられるため、健康的といえるでしょう。

なお、LDLコレステロール値が高い場合、血管に関連する健康リスクが高まりますが、正常値といわれる60~119mg/dLの範囲内であれば問題ないとされています。
HDLコレステロール値が低くなる原因は、LDLコレステロール値が高くなる原因とほぼ同じで、偏った食生活や運動不足による肥満、喫煙などの生活習慣です。

糖分や脂肪分の多い食事のほか、お酒の飲みすぎ、運動不足などの生活習慣で内臓脂肪型の肥満になると、血液中のLDLコレステロールと中性脂肪が増加し、HDLコレステロールが減少します。

また、影響力が強いとされるのがタバコです。喫煙によって中性脂肪が作られやすくな り、HDLコレステロールの減少を促します。さらに、タバコに含まれるニコチンは、血圧の上昇や血液の流れを悪くする原因にもなるのです 。

なお、HDLコレステロール値が20mg/dL未満という著しい低下がある場合は、生まれながらの体質や肝臓・腎臓の機能異常が疑われます。
HDLコレステロールを増やす方法
食生活の改善と、禁煙、定期的な運動は、HDLコレステロールの増加につながります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

◇食生活の改善
実は、食生活の改善のみでHDLコレステロールを増やすことは、なかなか難しいのが現状です。ただし、LDLコレステロールと中性脂肪を減らすことが、間接的にHDLコレステロールの低下を防ぐことにつながります。具体的には、栄養バランスのとれた適正なエネルギー量の食事に変えることです。

一日に必要なエネルギー量は、以下の計算式に当てはめると算出できます。

・標準体重×標準体重1kgあたりに必要なエネルギー量

「標準体重」と「標準体重1kgあたりに必要なエネルギー量」は、以下の計算式と表から算出しましょう。

・標準体重=身長(m)×身長(m)×22
※標準体型の目安として、BMI22としています。

・標準体重1kgあたりに必要なエネルギー量
活動量 活動の例 エネルギー量
軽度 デスクワーク 25~30kcal
中等度 営業職など、外回りが多い仕事 30~35kcal
重度 農業、漁業、建設作業員 35kcal~
※標準体重を上回る場合は、自分の活動量より低いエネルギー量で計算します。

参考:
島田市立総合医療センター
仙台徳洲会病院

栄養面では、主食、主菜、副菜のそろった食事を同じ時間帯に摂るとよいでしょう。また、糖分や脂肪分の多いものはできるだけ避け、ビタミンやミネラル、食物繊維の豊富な野菜・果物など、幅広い食材を使ったメニューにするよう心がけてください。飲酒も中性脂肪を増やすため、量を調整しましょう。

特に、以下のような食品は摂りすぎないことが重要です。

  1. ・鶏皮
  2. ・豚バラ肉
  3. ・卵
  4. ・うなぎの蒲焼
  5. ・車えび
  6. ・マーガリンを使用した洋菓子
  7. ・砂糖を多く含むジュース など

逆に、積極的に摂ると良いのが、サバやイワシなどの青魚と大豆食品です。青魚に含まれるEPAやDHAなどのn―3系多価不飽和脂肪酸には、中性脂肪を減らす効果が、大豆食品に含まれるたんぱく質と食物繊維には、LDLコレステロールを減らす効果 が期待できます。

◇禁煙と定期的な運動
タバコはHDLコレステロールの低下だけでなく、血管を詰まらせる恐れがあります。ヘビースモーカーの場合は、禁煙外来にかかるなどなるべく早く禁煙しましょう。

また、定期的な運動は中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やす最も効果的な方法です。特に有酸素運動は血流を改善し、血管の詰まりや硬化、メタボリックシンドロームの予防にもなります。

具体的には、毎日合計30分程度を継続することをおすすめします。毎日が難しい場合は、週3日以上を目標にしましょう。

運動強度はおしゃべりができる程度で、「楽にできる」から「ややきつい」と感じるくらいまでが良いとされています。以下のような有酸素運動のなかから、自分に合った運動をこつこつ継続することが大切です。

  1. ・ウォーキング
  2. ・スロージョギング
  3. ・エアロビクスダンス
  4. ・サイクリング
  5. ・水泳

運動を行なう時間帯は、食後30分~1時間 以内がおすすめです。血糖値が最高値に達するのは食後約1時間後 、中性脂肪値が上昇し始めるのは食後約30分後 とされています。タイミングを合わせて運動すれば、糖分や脂肪分をエネルギーとして消費できるため、血糖値も中性脂肪の値も下げやすくなるのです。

運動を避けたほうが良い時間帯は、朝食前や起床直後です。朝食前はまったくの空腹で血液中にブドウ糖が少ない状態のため、運動により糖を消費してしまうと、気分不良やめまいなどの低血糖症状が生じます。また、起床直後の運動は血圧が上がりすぎてしまうため、もともと血圧が高い人は注意が必要です。
HDLコレステロールは、細胞や血管内の余分なLDLコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割を持つコレステロールです。HDLコレステロールの値が下がって40mg/dL未満になると、脂質異常や血管に関連する健康リスクが高まります。

HDLコレステロール値を下げないためには、健康的な食事と併せて、禁煙と定期的な運動を心がけることが効果的です。こつこつ継続し、健康状態の改善を目指してみてください。