HDLコレステロールが低い3つの原因とその影響

「HDLコレステロールが低い原因はなんでしょうか」厚生労働省によると、HDLコレステロールの低い原因は主に3つあることが考えられます。

1.運動不足
2.肥満
3.喫煙

この記事では、HDLコレステロールが低いことによる原因とその悪影響について解説します。さらに、HDLコレステロールを増やす方法についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
HDLコレステロール値が低くなる原因は、運動不足、肥満、喫煙などの生活習慣によるものと言われています。

◇HDLコレステロールが低い原因 運動不足などによって内臓脂肪型の肥満になると、血液中のLDLコレステロールと中性脂肪が増加し、HDLコレステロールが減少します。

喫煙もHDLコレステロールを減少させる原因の一つです。タバコに含まれるニコチンが糖質や脂質の代謝異常を引き起こすことで、HDLコレステロールを減少させるだけではなく、LDLコレステロールを増加させることも分かっています。

脂質異常症/厚生労働省eヘルスネット


なお、HDLコレステロール値が20mg/dL未満という著しい低下がある場合は喫煙、肥満、運動不⾜などの⽣活習慣以外の原因を 考えなくてはいけません。生まれながらの体質や肝臓・腎臓の機能異常などの可能性が考えられます。

千葉大学医学部附属病院HP
一般的には、LDLコレステロール値が高いことが問題視されやすいですが、HDLコレステロール値が低い状態も無視できません。

HDLコレステロールは、細胞や血管内に溜まっている余分なコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ「お掃除隊」の役割を担っており、体内のコレステロール量を一定に保っていることから、善玉コレステロールとも呼ばれています。

◇コレステロールの役割 HDLコレステロールの基準値は、※40mg/dl以上と言われています。HDLコレステロール値が基準値よりも低い場合は、血管内の余分なコレステロールを回収しきれなくなる恐れがあります。回収されなかったコレステロールが、血管の壁に溜まることで、血管の柔軟性が失われ、心臓や脳などに大きな影響をおよぼす恐れがあるため、注意が必要です。

※一般社団法人日本動脈硬化学会HP
運動や食事など生活習慣の見直しが、HDLコレステロールの増加につながります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
運動不足はHDL(善玉)コレステロールの減少を引き起こします。有酸素運動を中心とした適度な運動を取り入れることでHDLコレステロールを保ち、LDLコレステロールを相対的に下げることが出来ます

ウォーキングや自転車など、毎日の習慣にできるような運動がおすすめです。短期間で集中して運動するよりも、ある程度長い期間運動を継続する方が効果的であるともいわれています。適切な運動方法については下記の表をご覧ください。

◇適切な運動方法
運動種目
(有酸素運動)
ウォーキング、速歩、水泳、エアロビクスダンス、スロージョギング(歩くような速さのジョギング)、サイクリング、ベンチステップ運動などの大きな筋をダイナミックに動かす身体活動
運動時間 1日の合計30分以上の運動 
頻度 毎日続けることが望ましいが、少なくとも週3日
脂質異常症を改善するための運動/厚生労働省HP


1日30分以上の運動を毎日続けることが理想ですが、1日の中で短時間の運動を数回に分け、合計30分以上としても大丈夫です。また、持病をお持ちの方など運動が負担になってしまうおそれのある方は、医師に相談のうえ、無理のない範囲で行なっていきましょう。
脂質異常症を改善するための運動/厚生労働省HP
日頃の食事では、特に高コレステロール食品の過剰摂取に気を付けましょう。中でも、飽和脂肪酸を摂りすぎないように工夫してください。飽和脂肪酸は肉の脂身や、バター、生クリームなどに多く含まれています。カップ麺や菓子パンなど、目に見えない「あぶら」にも要注意です。

◇飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
公益財団法人日本心臓財団HP

また、食物繊維はコレステロールの調節をサポートしてくれます。例えば、大麦などに含まれる水溶性の食物繊維には、便と一緒にコレステロールを体外へ排出してくれる働きがあり、血中コレステロール濃度を下げる効果が期待されています。

◇水溶性食物繊維を多く含む食品
●麦類 大麦、ライ麦 など
●海藻類 昆布、ワカメ など
●果物 りんご、いちご、みかん など
●根菜類 人参、大根、じゃが芋 など
城山病院栄養科だより~しろやま健康教室~vol.12

その他にも、家で調理をする際には、「揚げる・炒める」調理ではなく、「蒸す・煮る」などの調理をすることで脂質を抑えられます。洋食よりも和食のほうが飽和脂肪酸も少なく、食物繊維も摂ることができるのでおすすめです。栄養バランスのとれた食事を1日3食、良く噛んで食べましょう。
食物繊維の必要性と健康/厚生労働省HP

下記のコラムでは、朝食の実例献立も含めて、コレステロールと食事について詳しく解説しています。是非参考にしてみてください。
朝食でコレステロールを下げる3つのポイント|実例献立4選
実は、食事から摂取されるコレステロールは約20%のみで、残りの約80%は肝臓で作られています。そのため、食生活の改善と併せて、肝臓へ直接働きかけてくれるサプリメントの摂取もおすすめです。
キューバ産サトウキビ由来のポリコサノールは、LDL(悪玉)コレステロール値を下げ、HDL(善玉)コレステロール値の比率を改善してくれる成分を含有しています。キューバ産ポリコサノールについては、下記のコラムをご覧ください。
ポリコサノールとは
HDLコレステロール値が低いと、細胞や血管内に溜まっている余分なコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ「お掃除隊」が少なくなるため、回収されなかったコレステロールが、血管の壁に溜まっていってしまいます。

その結果、血管の柔軟性が失われ、心臓や脳などに大きな影響をおよぼす恐れがあるため、注意が必要です。

HDLコレステロール値を増やすために、健康的な食事と併せて、禁煙と定期的な運動を心がけることが効果的です。また、サプリメントの摂取もよいでしょう。是非、継続して取り組み、健康状態の改善を目指してください。
齋藤先生_背景透過_切り抜き

監修:ナグモクリニック東京院 女性更年期外来担当医師
斎藤 糧三 医師

1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立。
2013年よりナグモクリニック東京院で栄養外来と女性更年期外来を担当している。
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