non-HDLコレステロールとは|計算式やLDLとの関係。高いから下げたい、低いときは?

non-HDLコレステロールの説明
血液検査の結果にある項目”non-HDLコレステロール”。
値が高いと、心血管系の健康リスクが増加する可能性があるため、特に中性脂肪(トリグリセリド)の高い人などは、non-HDLコレステロールの値が重要です。

このコラムでは「non-HDLコレステロールとは何なのか」をわかりやすく説明します。

計算式や高い・低い場合の影響や改善はどうすればいいのかも紹介しますので、健康づくりにお役立てください。
non-HDLコレステロールの定義とは? non-HDLコレステロールとは、総コレステロール(血液中のコレステロールの全量)からHDLコレステロール(善玉コレステロール)を引いた値のことです。非HDLコレステロールと表現されることもあります。

中性脂肪が高い方は、医師からLDLコレステロール(悪玉コレステロール)に加えてnon-HDLコレステロール値のチェックを進められることが多いです。

内訳は以下のようになっています。

non-HDLコレステロールの内訳
  • ・VLDL(超低密度リポタンパク質)
  • ・IDL(中間密度リポタンパク質)
  • ・LDL(低密度リポタンパク質)
  • ・Lipoprotein(a)(リポプロテイン(a))

たくさんの成分がありますが、結論としては、non-HDLコレステロールに含まれるのは、VLDL → IDL → LDLという順番で変化するリポタンパク質(VLDL、IDL)と、すでにLDLコレステロールとして存在しているリポタンパク質、さらにLipoprotein(a)という名前のリポタンパク質ということになります。

VLDL、IDL、LDLなどのリポタンパク質の構成成分と変化の過程の説明
医療法人社団 健診会 東京メディカルクリニック
藤岡由夫.レムナントリポ蛋白とnon-HDLコレステロール.2021,43 巻 4 号 p. 458-464

それぞれを見ていきましょう。
VLDLは肝臓から分泌されるリポタンパク質で、主にトリグリセリド(中性脂肪)を主成分とし、コレステロールやリン脂質、アポリタンパク質を含んでいます。

血液中で、末梢組織にトリグリセリドの一部を脂肪酸として末梢に届けます。その過程でVLDLは少しずつトリグリセリドを失い、IDLへと変化します。

トリグリセリド(中性脂肪)は悪ではない

中性脂肪と聞くと悪いものに聞こえてしまいがちですが、細胞膜の構造の一部を形成するために必要不可欠な栄養素です。

また、日常生活では体を動かすエネルギーになるほか、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの吸収や体温調節するためにも必要です。

適量であれば問題はなく、過剰に摂取することが問題となります。
VLDLがトリグリセリドを少しずつ失い、構成が変化したものです。

IDLはVLDLよりもトリグリセリドが少ないため、コレステロールが相対的に増え、密度も増しています。

IDLはさらにトリグリセリドを失い、コレステロール量と密度を増し、最終的にLDLへと変化します。
LDLは、IDLからさらにトリグリセリドが失われたものです。
LDLは主にコレステロールを含み、トリグリセリドがほとんどない状態になっています。
血中のLDLは、動脈に沈着して血管系の健康のリスクを高めることがあります。
Lipoprotein(a)(リポプロテイン(a))は、LDL(低密度リポタンパク質)に似た構造を持つリポタンパク質です。主にApoB-100(アポリポタンパク質B-100)とApo(a)(アポリポタンパク質(a))が結びついて形成されます。

non-LDLコレステロールをLDLコレステロールと区別する理由

non-LDLコレステロールがLDLコレステロールと区別されるのはなぜでしょうか。それは、LDL以外のnon-HDLコレステロールの要素も血管系の健康リスクになる可能性があるためです。

2002年に雑誌Circulation Researchで発表された論文「VLDL and its role in atherosclerosis」では、VLDLは体内でトリグリセリドを運搬し、IDLやLDLに変化する過程で動脈壁にコレステロールが沈着する原因となることが示されています。

そのため、LDLコレステロールだけではなく、non-LDLコレステロールの数値をチェックすることが大切です。
non-HDLは総コレステロールからHDLコレステロールを引くと算出できる non-LDLコレステロールを算出するための計算式は次のようになります。

non-HDLコレステロール=総コレステロール−HDLコレステロール

公益社団法人 日本人間ドック・予防医療学会が定めるめやすは下記です。
団体によって基準値に差がありますが、数値が高い・低いと健康リスクが高いとされます。 HDLの基準値
◇non-HDLコレステロールのめやす
異常 89 mg/dL以下
基準範囲* 90~149 mg/dL
要注意 150~209 mg/dL
異常 210 mg/dL以上
*将来、脳・心血管疾患発症しうる可能性を考慮した基準範囲

数値が高いと、動脈系のリスク、脂質代謝異常、甲状腺機能系のリスクなどが疑われます。
また低い場合は、栄養吸収の問題、低βリポたんぱく系の疾患、肝臓系の疾患などが疑われます。

公益社団法人 日本人間ドック・予防医療学会
総コレステロール(TC) 250 mg/dL
HDLコレステロール(HDL-C) 40 mg/dL
計算式は下記になります。
250mg/dL−40mg/dL=210mg/dL

「異常」となり、健康リスクが高いということになります。
non-HDLコレステロールが低い・高い場合のリスク ここではnon-HDLコレステロールが高い・低い場合に考えられるリスクについて説明します。改善方法もご紹介するので参考にしてください。
non-HDLコレステロールが高い場合、心血管系の健康のリスクが増加します。とくに心臓や脳の健康リスクに繋がることがあるため注意が必要です。

高値の方は医師に相談したり、non-HDLコレステロールを下げるための取り組みをおこないましょう。

また「今はまだ大丈夫!」という方も、要注意に分類される数値にある場合や基準値からはみ出してしまいそうな場合には注意してください。健康リスクを減らすために予防するのがおすすめです。

リスク軽減のためにできることの一例

non-HDLコレステロールを整えるアイデア non‐HDLコレステロールが高くなることで発症するおそれのある疾患のリスクを下げるためには以下のような取り組みをおこないましょう。

◇non‐HDLコレステロール管理のアイデア
  • 1.健康的な食事
  • 2.LDLに作用するサプリを飲む
  • 3.定期的な運動
  • 4.禁煙とアルコールの適量摂取
  • 5.ストレス管理
1.健康的な食事
通常、食事からのコレステロール摂取量は約20%とされており、80%は肝臓が合成します。

ですが「たった20%ならそのままでも大丈夫!」というのは誤解です。食べ過ぎや高コレステロールな食事の場合、この割合は最大で50%に達することがあります。

また、肝臓のコレステロール合成にはフィードバック機構が働いており、食事での摂取量によって肝臓でのコレステロール合成量を調整しようとしますが、限界もあります。

食事から過剰なカロリーや糖質を摂取すると、必要以上にコレステロールが合成されることがあります。この状態が続くと、肝臓や動脈などの健康リスクになる可能性があるため、食事内容の見直しは重要です。

理想的なコレステロールの摂取割合は【食事から20%、肝臓で80%※】です。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を控え、食物繊維を多く含む食品(全粒穀物、野菜、果物)を積極的に摂取しましょう。
※健康的な食生活を維持する上での目安ですが、個人差もあるため、バランスの取れた食事を心がけましょう。

大和市ホームページ

具体的なLDLコレステロール対策におすすめの食材などは別のコラムで紹介していますので参考にしてください。
2.サプリを飲む
総コレステロールや、non‐HDLコレステロールに含まれるLDLを下げる「キューバ産ポリコサノール」を配合したサプリを飲むことで数値をコントロールする方法です。

また、キューバ産ポリコサノールはLDLを下げるだけではなく、LH比(悪玉と善玉コレス テロールのバランス)を改善し、血圧を下げる作用も報告されています。
注意!キューバ産以外のポリコサノールについて
ポリコサノールは産地によって構造が違うため、どのサプリでもLDLコレステロールや血圧に関する作用があるとは限りません。

機能性表示食品や特定保健用食品など、十分な科学的根拠が示されたものを選ぶのがおすすめです。臨床試験がどの国でおこなわれたかや、結果などを確認しましょう。

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3.定期的な運動
定期的な運動はLDLコレステロールを低下させるほか、HDLコレステロールを増加させると共に、肝臓や血管系の健康リスクを下げることができます。
4.禁煙とアルコールの適量摂取
厚生労働省は、喫煙はLDLコレステロールを増加させると発表しています。またLDLコレステロールの酸化を促進し、血管壁にコレステロールを沈着しやすくするといったメカニズムも公開されています。

あわせて、飲酒とコレステロールの関係についての関係性も指摘されています。
過剰な飲酒は、LDLコレステロールやトリグリセリドを増加させることがあると言われますので飲みすぎには注意が必要です。

「特定健診・特定保健指導における禁煙支援」(厚生労働省)
「(2) 脂質異常症」(厚生労働省)
5.ストレス管理
ストレスを感じることで、体内でストレスホルモンが分泌されます。そのホルモンがコレステロール合成を促進し、LDLコレステロールが増加することがあります。

また、ストレスにより血圧があがることで心血管系のリスクを高めることがあります。
血圧が高いと動脈に負担がかかり、結果として動脈の健康を損なう可能性があるため注意が必要です。

深呼吸をする、運動によって解消するなど、ストレスを解消する手段をいくつか持っておきましょう。

趣味に没頭したり、睡眠の質を高めるのもおすすめです。
適切な範囲での低い値は問題ないですが、極端に低い場合には医師に相談しましょう。

極端な低値が続くと、性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどのホルモンバランスや免疫機能への影響、脂肪の吸収不足などが懸念されます。
non-HDLコレステロールとは総コレステロールからHDLコレステロールを引いた数値のことで、VLDL、IDL、LDL、Lipoprotein(a)という4種類のリポタンパク質からなります。

non-HDLコレステロールは、LDLコレステロール単体と同じように血管壁に溜まってしまう場合もあります。そのため、LDLコレステロールの数値だけに着目するのではなく、計算式を使ってnon-HDLコレステロールの数値が基準値にあるかどうかにも気を配りましょう。

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キューバ産ポリコサノールの機能性
  • ・総コレステロールを下げる
  • ・悪玉コレステロールを下げる(LDL)
  • ・悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率を改善する(LH比)
  • ・高めの血圧を下げる
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監修 
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士

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