LDLコレステロールを下げる食品|食生活の改善方法を解説

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げたいと思った際に、まず思いつくのは「食生活の見直し」ではないでしょうか。コレステロール対策をする上で「食べた方が良い食品」「減らした方が良い食品」をきちんと理解して、日々の食生活を改善していきましょう。

この記事では、LDLコレステロールの数値に悩んでいる方や、コレステロール管理に効果のある食生活を知りたい方に、LDLコレステロールを下げる具体的な食品をご紹介していきます
はじめに、LDLコレステロールを下げる効果が期待できる食品を、具体的にご紹介します。ぜひ食材選びの参考にしてください。
食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、溶けない「不溶性食物繊維」とに大別されます。水溶性食物繊維は、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。

さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。

水溶性食物繊維が豊富な食品には、野菜や穀物、豆類、イモ類、きのこ類、海藻、果物などが挙げられます。

◇水溶性食物繊維を含む食べ物
伊勢原市「食物繊維をとろう」を基に筆者作成

水溶性食物繊維は水に溶けやすい性質を持つため、水溶性食物繊維を含む食品をゆでると栄養素がゆで汁のほうに流れ出ます。

この性質を活かしてみそ汁やスープにすると、栄養が無駄にならないでしょう。野菜のあく抜きを最小限にしたり、蒸して調理したりするのもおすすめです。
大豆や大豆製品は水溶性食物繊維を豊富に含んでいますが、特におすすめの食品は納豆です。納豆は、水溶性食物繊維はもちろんのこと、不溶性食物繊維もバランス良く含んでいます。コレステロールを排出するうえに、腸内環境も整えてくれますので、健康管理においては優秀な食品といえます。また、コレステロールだけではなく、血圧対策にもおすすめです。

■納豆で血圧対策!食べる際の4つの注意点と食べ方アイデア

その他、豆腐や油あげ、きな粉といった大豆を原料にした食品やインゲン豆も、水溶性食物繊維を多く含んでいます。毎日無理せずに摂取したい人は、豆乳がおすすめです。

■豆乳でコレステロール対策!豆乳の種類とレシピを紹介
食事から摂取する脂肪は、主に脂肪酸という物質で、大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類があります。

そのうち「不飽和脂肪酸」はコレステロール対策に積極的に取り入れたい成分です。常温で固まりにくい性質を持ち、体内でも液体の状態を保っています。

◇不飽和脂肪酸を含む食品
公益財団法人日本心臓財団HP

不飽和脂肪酸としてよく知られているのが、魚に含まれるDHAやEPAです。100gあたりの含有量が多い魚としては、マグロやスジコ、ブリ、サンマ、サバなどがあげられます。全体的に青魚に多く含まれ、タラやキスといった白身魚の含有量はあまり多くありません。

したがって、コレステロール対策を意識するなら、青魚を積極的に摂取するのがおすすめです。コレステロールを下げるDHA・EPAが豊富な魚については「購入時の魚の鮮度」や「魚の保存方法」等を含め、下記記事で詳しく紹介しています。是非参考にしてみてください。

■コレステロールを下げるDHA・EPAが豊富な魚ランキング

また、植物性油脂のオレイン酸も代表的な不飽和脂肪酸の一つです。オリーブオイルや菜種油、ナッツ類に含まれますので、食生活にうまく取り入れましょう。

サフラワー油、ひまわり油といった多くの植物性油脂も不飽和脂肪酸で、リノール酸を含んでいます。しかし、リノール酸を摂取しすぎるとLDLだけでなく、善玉のHDLまで減らしてしまうので、とりすぎには注意してください。
ここからは、LDLコレステロールを増加させてしまう食品を紹介します。コレステロール管理に注意する場合は、以下のような食品のとりすぎに注意しましょう。
飽和脂肪酸を含む肉や乳製品のほかに、コレステロールを含む食品には注意が必要です。 例えば、卵や魚卵、レバー、イカ、うなぎ、エビなどは、コレステロールが多く含まれています

ただし、これらは良質なタンパク質です。全く食べないようにするのではなく、量をとりすぎないように意識しましょう。「コレステロールの高い上位51食品」については下記の記事をご覧ください。

■コレステロールの高い上位51食品!多くが卵類や魚介類

また、コレステロールが多いといわれているイカですが、下記記事ではイカがコレステロール値に与える影響や成分・食べ方のポイントを紹介しています。是非参考にしてみてください。

■イカがコレステロール値に与える影響|成分・食べ方のポイントを紹介
先程、食事から摂取する脂肪は、おもに脂肪酸という物質で、大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類があると説明しました。

このうち、動物性の脂肪に含まれている飽和脂肪酸が、LDLコレステロールを増やす原因になるため、飽和脂肪酸の摂取量を減らすようにしましょう。

飽和脂肪酸は、常温で固形になるかどうかで見分けられます。例えば、飽和脂肪酸として代表的なものは肉の脂肪です。その他に、バター・生クリーム・チーズ・アイスクリームなどの乳製品、インスタント麺、揚げ物、パン、お菓子などにも多く含まれます。

飽和脂肪酸を含む食品を毎日のように食べている場合は、摂取する頻度を1日おきにしたり、1回あたりの量を半分にしたりして、全体的な摂取量を減らしましょう。

◇飽和脂肪酸含有量ランキングトップ10
順位 食品名 成分量(100gあたり)
1 油脂類/(植物油脂類)/やし油 83.96g
2 油脂類/(植物油脂類)/パーム核油 76.34g
3 種実類/ココナッツ/ココナッツパウダー 55.25g
4 油脂類/(バター類)/無発酵バター/食塩不使用バター 52.43g
5 油脂類/(その他)/ショートニング/業務用/製菓 51.13g
6 油脂類/(バター類)/発酵バター/有塩バター 50.56g
7 油脂類/(バター類)/無発酵バター/有塩バター 50.45g
8 油脂類/(植物油脂類)/パーム油 47.08g
9 油脂類/(その他)/ショートニング/家庭用 46.23g
10 油脂類/(その他)/ショートニング/業務用/フライ 41.37g
食品成分データベース/文部科学省

肉を食べる場合は脂身部分をカットして減らしたり、脂肪の少ない赤身部位(ヒレ肉など)や種類(トリムネやササミ)を選んだりして、工夫しましょう。可能であれば、肉中心の食生活の人は、魚を意識的に増やすのがおすすめです。
トランス脂肪酸とは、植物性油脂を固形化したマーガリンなどに含まれる脂肪酸です。マーガリンやショートニングを使って製造するケーキ・菓子パンのほか、スナック菓子・ファストフードの揚げ物といった加工品に多く含まれます。

◇トランス脂肪酸を多く含む食品
日本健康住宅協会HP

トランス脂肪酸は、LDLを増加させてHDLを減少させてしまうだけでなく、さまざまな健康への悪影響があるといわれていますので、過剰摂取に注意しましょう。
コレステロールを管理するには、摂取する食品に注意することも必要ですが、やはり基本は栄養バランスの良い食事を、3食規則正しく食べることが大切です。

食事内容を振り返ってみて、「おにぎりだけ」「パンだけ」といった主食のみに偏った食事や、肉・魚といった主菜に使う食材ばかりになっていませんか?付け合わせの副菜も、生野菜を少量のみでは、なかなか十分な栄養を摂取するのは大変です。

毎日の食事は、主食(ごはん、麺、パンなど)、主菜(肉、魚、卵、豆など)、副菜(野菜、海藻、きのこなど)を意識して、バランス良く整えるようにしましょう。

◇適切な量と質の食事
東京都保健医療局HP

食事はよく噛んでゆっくり食べるのがおすすめです。早食いや就寝2時間前の飲食などといった、体に負担のかかる食習慣は見直すようにしましょう。運動に関しては下記記事で詳しく紹介しています。是非参考にしてみてください。

■イカがコレステロール値に与える影響|成分・食べ方のポイントを紹介
LDLコレステロールを減らして良好に保つには、下記のようなLDLコレステロールを低下を期待できる食品を積極的に取り入れましょう。

◆LDLコレステロールの低下が期待できる食品類
①水溶性食物繊維を含む食品類
②大豆.豆製品類
③不飽和脂肪酸を含む食品類

また、下記のようなLDLコレステロールを上昇させる食品は控えるように注意することが大切です。

◆LDLコレステロールを上昇させる食品類
①コレステロールが多い食べ物
②飽和脂肪酸が多い食べ物
③トランス脂肪酸

それに加えて、日々規則正しくバランスの良い食事をとることも重要だといえるでしょう。しかし、食事が影響するのは、生成されるコレステロールのうち2割程度ということをご存じでしょうか。

実際のところ、コレステロールの約8割は肝臓で生成されるため、コレステロール対策には食生活の改善以外でも、肝臓にアプローチするサプリメントの摂取などをお勧めします。

◇血中コレステロール値の割合
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団を基に筆者作成


コレステロール改善は日々の積み重ねが大切です。まずは今日の食事から見直していきましょう。

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齋藤先生_背景透過_切り抜き

監修:ナグモクリニック東京院 女性更年期外来担当医師
斎藤 糧三 医師

1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立。
2013年よりナグモクリニック東京院で栄養外来と女性更年期外来を担当している。
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